【取材】キャメロットインターナショナルスクール|英語で「学ぶ」力を育てる。創設者・菅原さんに聞く、国際人を育てる学校の考え方
東京・小竹向原にあるキャメロットインターナショナルスクールは、Grade 1からGrade 12までを対象とするCambridge International認定校です。
2026–2027年度は全校85人、教職員は約20人。小規模な環境で、一人ひとりの学習状況に目を配ることを掲げています。
この記事で分かること
キャメロットインターナショナルスクールが大切にする教育観
「英語で学ぶ力」をどう育てようとしているのか
日本語学習をどう位置づけているのか
入学時に求められる英語力と、家庭に期待される関わり
学校生活、通学、費用、卒業後の選択肢
今回の取材で印象に残ったのは、創設者・菅原さんが何度も語った「英語を教える」ことと、「英語で学べるようにする」ことの違いでした。
英語を使って教科を学び、自分で考え、将来の選択肢を広げていける子どもを育てる。そのために、基礎学力、規律、人への思いやりのいずれも大切にしているといいます。
また菅原さんは、日本の学校教育を否定しているわけではなく、運動会や行事に見られる日本の学校文化の良さを取り入れながら、教育言語は英語に定める。その考え方には、学校づくりの背景と、菅原さん自身の子育ての経験が深く関わっていました。
今回は菅原さんに、学校をつくった理由、英語教育への考え、日本語との向き合い方、入学時に大切にしていること、日々の学校生活や卒業後の進路まで、率直に伺いました。
※1:Grade
Grade 1は小学校1年生、Grade 12は高等学校3年生に相当。
学校内では、Grade 1〜5をPrimary、Grade 6〜8をLower Secondary、Grade 9〜12をUpper Secondaryとして学びます。日本の「6・3・3制」とは区分が異なりますが、小学校から高校卒業相当までを見通して学べる構成です。
※2:Cambridge Internationalとは
英国・ケンブリッジ大学出版・評価機構(Cambridge University Press & Assessment)の国際教育部門が提供する、3歳から19歳までを対象とした教育プログラム。
各教科を英語で学びながら、知識を身につけるだけでなく、自ら考え、問いを立て、学びを深める力を育てることを重視します。中等・高等段階では、IGCSEやAS & A Levelといった国際資格につながるカリキュラムが用意されており、生徒は関心や将来の進路に応じて科目を選び、学びを深めていきます。学校ごとに対象学年や提供科目は異なります。
教育理念と、最も大切にしている価値観
まず、どのような思いから学校をつくられたのでしょうか。
菅原さん: もともとは約20年前、3歳頃から通える小さな学校を始めたことが出発点でした。
そこで育った子どもたちが小学校へ進む時期になり、「この先も、同じような考え方のもとで学べる場所があれば」という保護者の声をいただくようになったんです。
私自身、自分の子どもを、日本人であっても英語というもので世界と関われる人に育てたいと考えてきました。ただ、英語を話せるようになることだけを考えていたわけではありません。
英語力が年齢相当でも、英語で学ぶ教科の基礎学力が足りない子はいます。反対に、勉強はできても、英語で学ぶ力が十分ではない子もいます。
ですから開校当初から、その子に必要なところから学べるようにしてきました。最初は年齢もさまざまな少人数で始めたので、足りない教科は下の学年の授業を受けたり、自分の学年の授業を受けたりと、個別の時間割を組んでいた時期もありました。
英語を使って、いろいろな教科を学ぶための基礎をきちんとつくる。それが一番の目的です。でも、ただ勉強ができればいいわけではありません。生徒同士でも、先生やスタッフとの間でも、お互いをきちんと見られるような心の部分も育んでいきたいと思っています。

「国際人を育てたい」という言葉には、どのような思いがあるのでしょうか。
菅原さん: 英語ができること自体が目的ではありません。英語を使って、どこに行っても学んでいける人になってほしいと思っています。
私が目指したいのは、ただ頭がいい子でも、ただ優しい子でもありません。
どの年齢であっても、必要な力をきちんと身につけ、人格としても健やかに育ってほしい。英語は、そのために世界とつながり、学び続けるための言葉として捉えています。
Cambridgeの学び
英語教育の面で、キャメロットインターナショナルスクールらしさはどこにありますか。
菅原さん: 小さいうちに、読み書きや算数といった基礎をきちんと身につけて、大きくなった時には自分で学びを進められるようにしたいと思っています。
Cambridgeの学びを最後まで続けていくには、先生が一生懸命教えて、生徒がついてくるだけでは難しいところがあります。自分の方向性を見極めて、自分のために勉強できる子になってほしい。そのために、小学校の頃から基礎学力、応用力、集中力を少しずつ身につけてほしいと考えています。
ただ、いわゆる詰め込みのように進めたいわけではありません。小学校の子どもたちは「学校が楽しい」と言って来てくれています。読み書きや算数はきちんと身につけてもらいながら、年齢が上がった時に、自分でどう進んでいくかを考えられるようにしたいんです。
学年に対する考え方も、一律ではないのでしょうか。
菅原さん: みんなが同じスピードで進むわけではありません。本人や保護者、先生がよく話し合って、もう一度基礎から取り組んだほうがその子のためになる、と判断することもあります。反対に、十分にできていて、努力もできる子なら、次の学年でもついていけるかを見ながら考えることもあります。
大きくなった時に困らないように、早いうちに基礎を固めることを大切にしています。本人が頑張る気持ちを持ち、保護者の方も一緒に支えてくださるかどうかも、すごく大切です。
運動会や授業参観など、保護者が参加できるイベント
菅原さん: 遠足、運動会、授業参観、保護者面談など、日本の学校で行われているようなことはかなり行っていると思います。
ハロウィンでは、子どもたちがお昼の後に仮装して、保護者の方にも協力いただきながら街を歩き、「Trick or Treat」をすることがあります。小学校・中学校ではそのような形で行い、高校でも保護者の方をお呼びして、夕方からのハロウィンナイトのような場を復活させようとしているところです。
運動会では徒競走やリレーもありますし、保護者の方に参加いただく綱引きもあります。海外の方には、皆でリレーを応援したり、保護者の方が競技に参加したりする日本の運動会が新鮮に映るようですね。
日本の学校教育との違いはあるのでしょうか。
菅原さん: そうですね。私は日本の学校を全然否定していません。みんなで行事を練習したり、クラスで一体感を持ったりすることには、何ら悪いことはないと思っています。
見学に来られた方から「インターナショナルスクールは日本の学校より自由だと思って」と聞くこともあります。でも、自由であればいいとは思っていません。ある程度、みんながきちんとしたルールの中で朗らかに過ごせるからこそ、楽しいのだと思っています。
私は日本人として日本の考え方も持っていますから、必要なことは厳しく言います。一方で、海外で教育資格を取り、海外で生きてきた先生方の背景や専門性も大切にしています。日本の良い部分と、先生方が持っている海外の教育の背景、その両方を生かしていきたいですね。

日本人比率や子どもたちの背景
どのような背景を持つ子どもたちが学んでいますか。
菅原さん: 日本人という言い方で捉えるなら、日本人の割合のほうが多いと思います。ただ、日本で生まれ育ち、英語にほとんど触れたことがないまま、「Grade 1から入れてください」という子はいないと思っていただいていいです。
どこかの段階で英語に触れてきた子、海外駐在から帰国して英語での学習を続けたい子、複数の文化的背景を持つ子などがいます。
国籍だけで分けるのではなく、英語で学び、学校生活を送るための準備があるかはしっかり見ています。
日本語(漢字など)の学習
日本で暮らす子どもにとって、日本語の読み書きも気になる保護者は多いと思います。学校ではどのように考えていますか。
菅原さん: 家庭で使う言葉と、学校で学ぶ言葉は、分けて考えています。親との言葉、家庭での言葉は絶対に持っておくべきです。でも、学校での学習言語を何にしたいかは別の問いだと思っています。
日本に住んでいれば、外では日本語が飛び交っています。日本語を学ぼうと思えば、学校の外にもいろいろな機会があります。一方で、英語で学び、英語で友達や先生と関わる環境は、学校のなかで意識してつくらなければ得にくいものです。
日本語と英語をどちらも中途半端にしてしまうより、学校では英語での学びをきちんと深めたい。それが私の考えです。
ですから、PrimaryやLower Secondaryで、日本語の時間を定期的に置くということはしていません。
もちろん、日本語を学びたいというご家庭の考えを否定しているわけではありません。ご家庭の方針で外部の教材や学習の場を選ぶことはできますし、ご相談があればお話しします。
入学時に必要な英語力・学力について
菅原さん: 授業はすべて英語で進みますので、やはりある程度の準備は必要です。
Grade 1に入る子であれば、フォニックスを通じて、たどたどしくても単語を少し読める、短い単語なら多少間違えても書ける、といったところまではできていてほしいと思っています。
Grade 1の終わりには文章を書く学びも始まります。授業が全部英語なので、あまりにも分からない状態で入ると、本人にとって「分からない」が強くなってしまいます。必要であれば、もう一年準備してから受けることや、ご家庭で取り組んでから改めて試験を受けることをご提案する場合もあります。
入学を考える家庭には、どのような関わりを期待されていますか。
菅原さん: 保護者の方が完璧に英語を話せる必要はありません。ただ、子どもだけに「英語を頑張ってね」と任せるのではなく、「一緒にやろうね」「今日どうだった」と関心を持ってくださることは大切だと思っています。
子どもは、本人のやる気と先生方の力、そしてご家庭の協力があれば伸びる幅を持っています。学校に預ければすべて大丈夫、というよりも、家庭と学校で二人三脚になれるかを大切に見ています。

1日の学校生活や授業の流れ
菅原さん: Grade 1からさまざまな教科の学びが入っています。授業中は座って集中して聞くことを大切にしていますが、分からないことがあったら発言したり、先生に聞きにいったりしてほしいと思っています。
子どもの様子に合わせて、先生の机の近くで学ぶこともあります。「今は集中する時間だよ」と声をかけながら、その子が学びに向かえるようにしています。
ランチの時間はにぎやかに過ごしていますし、校庭はありませんが、人工芝の屋上があります。クラスごとに屋上へ行って体を動かしたり、近くの公園に行ってリフレッシュしたりすることもあります。
放課後には、先生が「このクラブをやりたい」と言って始めることもありますし、中学生くらいになると、生徒が「こういうクラブがほしい」と言い、顧問になってくれる先生と一緒に活動することもあります。
放課後活動についても教えてください。
菅原さん: 放課後の活動も、子どもたちや先生方が一緒につくっていく部分があります。
詳細は学年や年度によっても変わるので、見学の際にその時の活動を見ていただくのが一番だと思います。
長期休暇について
菅原さん: 春休みと冬休みは、日本の学校とそれほど大きくは変わらないと思います。夏休みは7月・8月の約2か月です。先生たちはその間にミーティングをしたり、次年度の準備をしたりしていますが、基本的には子どもたちは夏休みです。
新学期は8月末か、遅くとも9月1日には始まる形です。
通学している子どもの地域や、通学範囲について
菅原さん: 小竹向原駅は副都心線、有楽町線、東武東上線や西武線への乗り入れもあって便利です。Primary・Lower Secondaryの校舎は、駅から歩いて1〜2分ほどです。遠方から通う子も、電車で通っていることが多いですね。近くの子は自転車で来たり、車で送迎されたりすることもあります。
スクールバスは出していません。東京は交通網が発達していますから、ある程度は公共交通機関を使ったほうが時間も正確ですし、ご家庭の負担も抑えられるのではないかと考えています。
卒業後・修了後の進路や、将来の選択肢について
海外大学へ進むことが前提なのでしょうか。
菅原さん: 大学に行くことだけが正解ではないと思っています。専門学校でも、ほかの形でも、子ども自身が「これに挑戦してみたい」と思えるところに行けることが一番です。
海外大学だけを考えているわけでもありません。日本でも英語で学べる大学・学部は増えています。海外の大学に行く場合は、学費だけでなく生活費も含めて考える必要がありますから、本人が何を学びたいか、家庭としてどのような選択をしたいかを踏まえて考えていくことになります。
海外に進む子もいますし、日本の英語で学べる大学を選ぶ子もいます。たとえば一度は海外大学からオファーを受けても、学費や生活費を考え、日本の大学に進学し、大学院などで海外を目指すことを選んだ子もいました。

学費やその他費用について、保護者が事前に把握しておくべきこと
菅原さん:そうですね。私は学校を始めた頃から、英語で学ばせたいと思うご家庭が、費用のために選択肢を狭めずに済むような学校にしたいと考えてきました。
当時も、本格的なインターナショナルスクールは費用面のハードルが高いと感じていました。
だから、日本の私立学校を検討するご家庭にも、「ここなら通わせられるかもしれない」と思っていただけるように、できるだけ学費を抑えてきたつもりです。保護者の方からも、日本の私立学校と比べて検討しやすいというお話をいただくことがあります。
私はいつも、自分だったらその費用を出せるか、子どもにその時間をかけさせたいかを考えながらやってきました。
小規模な学校なので、体育館や大きな校庭があるような施設にはなりにくい部分もあります。でも、施設の規模だけではなく、英語で学ぶことを家庭としてどこまで大切にしたいか、日々の通学や学校の雰囲気も含めて見ていただきたいです。
編集後記|「英語ができるようになる」の先に、何を見ているのか
菅原さんのお話には、インターナショナルスクールを「英語を身につけるための近道」とは捉えない、はっきりした姿勢がありました。
英語は目的ではなく、学び、考え、世界と関わるための教育言語。その英語で教科学習を続けるには、基礎学力、学ぶ習慣、家庭との協力が必要になる。だから学校側も、入学時から子どもの状況を丁寧に見ようとし、家庭にも教育方針への理解を求めています。
一方で、日本の学校文化を否定するのではなく、運動会や行事の良さを学校生活に取り入れる。英語を徹底することと、日本で育つ子どもたちの生活を大切にすること。その両方をどう形にするかを考え続けている点に、キャメロットインターナショナルスクールらしさがあるように感じました。
英語で学び続ける環境を、家庭として本気で選びたいか。
日本語の学びをどこで、どのように考えるか。
小規模な学校で、一人ひとりの学習状況を見ながら進むことに魅力を感じるか。そうした問いに向き合う家庭にとって、まずは見学や学校との相談を通じて、日常の空気を確かめてみることが大切です。